川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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近況報告    2008年07月18日

私は一昨年以来、ここインドでの生活は計14ヶ月にもなる。私にとって憧れの未知なる国インドであった。パソコンを持ってきて本格的に触りだしたのもそのころである。最初は不慣れな手つきで眠い目をこすりこすりの暇つぶしであった。しかし何時の間にか知らないうちにはまっていった。今は「これなくてなんでこの世は桜かな」という心境だ。えらい変わりようだ。

今日現在、私のインドライフの半分以上はインターネットである。壊れたパソコンはいまだ何も連絡が来ない。この一週間は昨年まで一年間住んだ所でヤドカリしている。ここではパソコンが借りれて、私にとって水を得た魚のように生き生きと泳いでいる。ビザの切れる11月までには一度は日本に帰らなければならない。

今慣れない漫画の注文を安受けして七転八倒している有様だ。私は漫画を甘く見ていたばかりに塗炭の苦しみを受けている。ある経済書籍の中に挿絵を描くといった話で、ついうっかり過信して話に乗ってしまった。下絵を描いているうちに、こんな難しいことが私に出来るんだろうか?  何でも描けると思った私の軽率さに、ほどほどあきれてしまった。

物語はちゃんとした筋道があるんだが、創作しながらイメージを作らなければならない。漫画を描くことに慣れない私はうまく線すら走らないし、おまけに何枚かいても同じ顔にならないのである。クロッキーには慣れたつもりでもモデル無しでは、こんなにも混乱するとは気がつかなんだのが落ち度だった。

私の知人に慣れた人がいる。彼女の絵を見ていると何処にも迷いが見当たらない。ストーリーも理論整然としていて読んでいて物語の色っぽさと、表現手法に安定感があり、描き慣れた人の絵には感服の至りである。

45年ほど前の話になるが、知人が漫画の道に進むことを聞いた事がある。その理由を聞いたら「漫画はすごくお金がいい仕事だ」と言っていた事を思い出した。その後今に至っても羨ましいほどマンガブームの到来だ。しかし未だにその人はデビュウしていない。結婚して性でも変わったのだろうか?  私が知らないだけなのか?

私のような女性の裸ばかり描いていても、何のお金儲けにもならない。個展をしても半分の人は偏見の眼差しでの鑑賞にほかならない。これも私の偏見かも知れないが売れないことは事実明らかである。どこかに飾っておくにも人目につかない所を選ばれ、まるで窓際族みたいに哀れである。お陰でインドは裸禁物で描くにも描けず悶々とした中での漫画の依頼であった。

暑い昼間は寝たり起きたりしながら真夜中にむざむざ描いてる今日この頃です。今年の日本の梅雨は36度にもなったと聞いた。インドのほうがよほどましである。



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