川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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RISHI VALLEY SCHOOL見学(4)最終編    2008年08月31日

朝食を済ませた私はキャンバス内を丹念に歩き回った。でも全部は到底回れずポイント、ポイントで絵を描いた。

たくさんの大人や子供が絵を見せて欲しいと尋ねてきた。特に生徒との会話は楽しい。絵の好きな子供も一緒に描きたいと私の周辺にへばりついてくる。私はスケッチブックを破っては皆に渡した。私はまるで絵の先生になったような気分で得意満面で教えながら描いた。ここに来て生徒と一緒に行動が取れただけでも大収穫で心は有頂天であった。

ランチが終わり明日のバスチケットの準備のため事務所に行った。夜の9時の夜行バスのチケットを準備してくれた。午後8時までゲストハウスで待機して欲しいと言われた。私は3キロくらい歩いていくつもりをしていたのに車で送ると言うのだ。しかしよく聞いてみると降りたところでなく今度は遠いバスターミナルのあるMADANAPALLEという街で車で40分はかかるそうだ。そこでシート番号を貰わなければならず何処からでも乗れないことが分かった。

ゲストハウス代全食事付2泊で1900ルピー。バスチケット代片道550ルピー支払って事務所を出た。次にいつか来たら又あそこで泊まりたいな。わずかな日程だが心の洗濯をしたような快適さだった。縛られるものが何一つ無く、好きな時起きて、眠くなったら昼寝をして、半分も通じない英語で会話を楽しみ、地球上の一番新鮮な所だけ選って吸った空気も、久しぶりに描こうと思った絵もデジカメが壊れたお陰であった。皆と一緒に食べた食事も私の心まで満たしてくれた。

この学校周辺には店屋は何も無く、お金の使う所が何一つ無いのである。果物も、お菓子も、ジュースも、電池も、鉛筆も、遠い所まで行かないと買えない。ここで住んでいると1日3食は保障され、あとは自由時間である。次来るときは外から要る物を買ってこなければ多少不自由だ。1、2日の滞在ならまだいいがやっぱり一週間はここでのんびりしたいと思った。街の人ごみと騒音には慣れたと言うものの、何処へも帰りたくない気持で木立にのぞく澄んだ青空を見上げた。

4泊6日(車中2泊)の旅は終わった。短い日数の中で数々の新しい体験をした。ここに来る迄のバスの中で、周りが白々と明け始めた時から下車した午前11時頃迄のどかな田園の中をバスはひた走った。高い山こそ無いが2、3百メートルくらいの山々が道路の両サイド遠くに連なって見えた。ミセスDr リトゥさんに回りは小麦畑ですか?  と尋ねた私に、お米だよ、と答えてくれた。そのリトゥさんとも1日1回しか逢えなかった。帰りの日は早朝バンガロールに行くと言って発っていった。

私は人間丸ごとリフレッシュし今夜8時の迎えを部屋で待った。何時も私の周りに新しい出会いと野望を満たしてくれるエネルギーがこの体を揺り動かしてくれた。それは神や自然や人であり周りに漂っている空気でもあった。その度に私はインドに来てよかったと思わず胸を熱くした。67歳の年齢で多くの体験をし、数知れない親切に出会った。この生徒達が大人に成った時はきっと美しい住み良い環境を作ってくれるだろう。想いは尽きないが体に中に多くの土産を詰め込んだ。



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