川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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死後の世界    2008年12月11日

インドから帰国して早2ヶ月足らずが過ぎた。日本滞在の3ヶ月を、少しでも働きインドに生活費を持っていこうと思って帰ったが、日本は不況の真っ只中である。おいそれと私のような67歳の年齢を待ってる仕事などないのが現実である。寒々とした師走の季節に世界不況とあいまって、日本の将来を担っていく多くの若い派遣労働者まで、突然住宅を追われ、仕事を奪われているのをテレビで見ていると、私のような初老の人間が贅沢言えないなあ…と思い知ったのである。

今日のインドは急速に右肩上がりに発展し、今世紀中に世界の先進国の仲間入りするとまで言われている。しかし同時に貧富の差も創造をはるかに越え、底辺層は見るも気の毒な光景である。路上やぼろぼろのテントで生活している人達があまた居ることも現実である。私の推測だが、北インドでは南ほど路傍で寝ている人が少なく感じたのは気候のせいかも知れない。なぜなら暑いところは寝具は毛布一枚で生活でき、周りも気にしなくてよいこともあるんだろう。最近日本でも公園でのブルーテント族の多いのもよく似ている。

ただ気になるのは、将来を嘱望される働き盛りの若者や、中堅労働者が職を失い、この年末時期に路頭に迷っている反面、たくさんの大学生が燎原の火のごとく広がる大麻汚染、さらには老人や弱者をだます振り込め詐欺、悪質殺人犯罪など枚挙に暇がない。日本社会の現状はどこか歯車が狂っているしか考えられず、先々憂慮に堪えない次第である。高いお金を払って大学まで出してもらいながら、勉学はおろか犯罪に手を染めている現実を見るにつけ、豊かさゆえの後遺症とはこんな結末を生み出す事なのだろうか。

その点インドは、日本の戦国時代のような群雄割拠が近年まであったにしろ、テロという、宗教的かつ政治的犯罪で、社会の中がここまで腐敗していないように思うのは私だけだろうか。生きている事はいつかどこかで死んでいく運命でも、貧困や病気や事故がその原因ならまだしも、多くの人達が突然の解雇通達でこの寒空の下に放り出されるとは気の毒でたまらない。私が当事者ならきっと社会を恨み、かつののしり、やり場のない気持ちをどこに持っていくだろうと危惧する昨今である。

花園ってあるんだろうか?、水やりする水があるんだろうか?、道先案内人がいるのだろうか?手持ち無沙汰で行けるんだろうか?お金は一銭も持っていかなくてもいいんだろうか?私は合掌して立ち去った。



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