川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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第二回目ヒマラヤトレッキング(その11)最終編    2008年11月28日

10月10日、今日も強烈な寒さだったが一片の雲も無い紺碧の空であった。9時ごろの出発まで時間がたっぷりあり、周辺を探索しスケッチも出来た。今年のトレッキングは一日も雨にあわなかったことはありがたかった。ただ心残りは、高山植物を見れなかったことだった。出発時間を前にして、前後2泊もしたこのホテルは、針葉樹の中に佇んだロッジ風の白いペンキで仕上がった瀟洒な建物を記憶に留めておいた。

車道の終着地の駐車場は今日の出発を待つ車で賑わっていた。マイクロバス、乗用車、ワゴン、ジープと回転するのもおぼつかないほどの混雑や、周りのお土産店の叫び声や、腕に装飾品や食べ物をぶら下げ、車のドアまで叩いて売りに来る若い女性で、まるでヒンズー教の聖地の出発前の朝は生鮮市場のような喧騒だった。私も完全に体調が回復し、全員揃って快晴の聖地をハリドワールに向けて出発した。いろいろあったが、生涯来る事も無いだろうこの地に名残惜しかった。

今日は下りといえども3000メートルも低いハリドワールまで一気に降り、夜汽車で翌早朝デリーに着く予定になっていた。私の住んでいるハイデラよりも300メートルも低い沐浴の聖地は、来たときの様に気温も30度は超えむしむししているだろう。無事帰れる喜びよりも、もう少し美しい自然の中で美味しい空気を吸っていたい思いのほうが強かった。人間は勝手な動物だと思った。都会の喧騒の中にいると、静かな山間を求め、そこに行くと再び都会が恋しくなる。

車は来た道を、左にガンガ中流を見ながら蛇行して降りていくと、りんご園が右側にあった。途中道端に売っていたりんごを、Bさんが車を止めて買い、一個ずつくれた。小さめで形は悪いが味はハイデラバードで食べた時より固く、りんご独特の風味もあり美味しかった。朝食を少なめに食べたせいか、途中空腹のなか食べた昼食も久しぶりに満腹感で満たされた。天気も良いせいか登って来た時よりも狭い車内での苦痛感も感じられなかった。

途中トラック横転事故があると言われ雄一の国道は通行止になっていた。再び来た道を逆戻りして険しい山道に入った。ナショナルロードから離れると悪路すざましく、交差する車のほこりで窓も満足に開けれないような状態であった。国道をふさがれた車はすべてこの悪路を通ってくるのだろうと推測された。こんな奥山にも次第に陽は傾き山間の点在する集落に僅かな灯りが灯り始めた。延々3時間ほどの暗闇の迂回路はすごく長く感じ、やっと国道のアスファルトに出てホッとした。

0時前の夜行寝台に乗れるか心配したが無事帰れたが、再度ガンジスの沐浴スケッチをしょうと思っていたが出来なかった。それでもホテルでシャワーし、一休みする時間があった。しかし体調こそ壊したが、無事下界まで事故も無く降りて来れた事はありがたかった。今度のトレッキングで数人頭痛で悩み、体調を壊した事を始めて体験した。だが今また来年は違ったコースに挑んでみたいと、心の中で密かに思っている。



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