川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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第二回目ヒマラヤトレッキング(その3)    2008年10月29日

10月4日標高300メートルのハリドワールから一気に標高3049メートルのガンゴトリー(Gangotri)迄8人は2台の車に分乗して12時間のドライブした。険しい山道を一日中車に揺られているのもとっても疲れた。周りの景色を眺めながら歩いたほうがよほどましだと思った。ガンジス川流を右に見たり左に見ながら四輪駆動車は力強く悪路を駆け上がる様に走って行った。

インド北部は米作地帯が多く、刈り入れが終わると木の枝分かれした又の部分に藁を天火で乾燥するため引っ掛けて積み重ね、遠くから見るとまるで大小さまざまな樹に鳥が巨大な巣を作っている様に見えた。道路から眺めるとその田畑は河川敷きまで広がった所も多く、少しの敷地でも無駄にせず活用しており、耕す、運ぶ、客乗せ等、牛馬は何処に行っても重要な働き手であった。車に閉じ込められた長い道中はトイレ、ランチタイム以外腰を伸ばす時間もままならなかった。

途中温泉があり太い3本のパイプから生ぬるい20度くらいのお湯が吹き出ていた。そこにはヒンズー教のお寺があり、長旅の疲れを癒す温泉シャワーかもしれない。トイレ休憩の為一時停車したものの、どのトイレも汚くとても用足しが出来る状態ではなかった。男性ならその辺の草むらに行けるが女性は大変だな〜と気の毒に思った。途中いくつもの町を通過したがUTTARKASH(標高1200メートル)は大きな街でありその喧騒ぶりは何処の町も変わりは無かった。

インドは国が大きいだけに北と南では食べ物、着る物、生活習慣は多少違うが家畜は道路を使う主役である事は何ともいらだたしくなる事しばしばだ。集団移動している時等、急いだ車がいようがおいそれと端っこに寄ってくれず飼い主が棒で一生懸命鞭打つが何知らん顔して真ん中を占領する事をよく見る。牛の顔を見ているといかにも落ち着いて後ろがどんなに騒いでいようが、わが道を行く、といって相好崩さず、「数で渡れば怖くは無い」と何時どきでも殿様表情だ。

12時間も北インドの豊かな自然と実りの秋を満喫しながらベースキャンプのガンゴトリーに着いたが長時間の車中はきつかった。度々腰を伸ばす事が出来ない事が歩くよりきつかった。この町も北インドの神聖なるヒンズー教の町できっと霊山ヒマラヤ信仰者の宿場町として栄えてきたのだろう。明日からトレッキングが始まるので、観光客用の細い歩道の両脇にぎっしり立ち並んだ土産店で、毛糸の手袋と目と口だけ開いた帽子を買った。色んな小枝で作った杖も売っていた。

夕刻の3000メートルの高地は肌寒く投宿するなりセーターなど着こんだ。たった一日で暑い所から寒いところに移動すると体を調整するだけでも大変だった。朝からガンガの流れと平行して上がってきた。日が傾きかけた川面はピンク色に染まり帯の様に細く曲がりくねって山裾に消えていった。ここでも頻繁に起きる停電の中、何枚も着込んで明日からのトレッキングに備え、早めに毛布の中にもぐりこんだ。近くの谷川で巨大な石灰岩の間を通り抜けた豊富な水量が滝つぼに噴出落下し轟音を響かせながら一晩中暗闇の中にうなっていた。



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