川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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第二回目ヒマラヤトレッキング(その4)    2008年11月06日

10月5日ガンゴトリー(gangotri)の朝は冷え冷えとし、ベットから抜け出るのが辛かった。空気の澄んだ空は青く、気温は0度に近いのか、はく息までも白かった。この町のロッジは渓谷と深い緑の中にたたずんでいて、ここまで奥地にきたら針葉樹が多くなってきた。少ない落葉高木は濃緑針葉樹林の中に、黄緑、黄色、オレンジと秋が色づき始まっていた。ハイデラバードでは落葉高木樹(紅葉する木)など見たくても無く、ほとんど木陰を作ってくれる常緑広葉樹であった。

今日は待望のトレッキング初日である。私は北インドの澄み切った空気を体一杯に吸いこみながら、杖をひっさげて足軽に歩き出した。前回体調崩した苦い経験を思い浮かべ、最初から呼吸と歩行のリズムを合わしながら歩き出した。それは前回復調した後、呼吸の仕方によって疲労感が少なく終盤はとても順調だった事を記憶していた。しかし一日目は急な上り坂ではないが、落石の危険がいたるところにあり、おまけに道幅も狭く、反対側は激しい崖になっていた。

この日のボジバサ(Bhojbasa)までの長い距離は、初日にしては激しい疲労を感じた。3792メートル(700メートル上り)までの道筋には松の木.樅の木、ヒマラヤ杉・と高木針葉樹、うるしか、はぜのように赤く紅葉した潅木類が裾野を染めていた。地被植物(グランドカバー)としてシダ類が僅かの緑を残し、風に揺れながら山肌にへばりついていた。登山道の前方や両サイドには高い山々が新雪をかぶってそびえていた。そして右側裾野に谷川が轟音をたてて流れていた。

春や夏山なら変わった草花にもたくさん出会えただろうに、秋のヒマラヤは奥に入れば、ますます石の量が多くなり無味乾燥な色合いと落石の心配が神経を尖らした。左上を見ると砂利山で出来上がったような大小の様々の石は、まるで浮石のようで、いつ転がって落ちてきても不思議でなかった。その証拠に偶然私が歩いていた時、上からガラガラと石が転がり落ちる音がした。上を見ると直径10センチほどの石が転がってくるのが見え、目の前を通過して崖に落ちていった。

勾配こそ緩いが、路面が悪くほとんど滑らかな所が少なく石コロだらけであった。何箇所も川が道を横切り、その度に丸太が2本並べて橋渡りしたり、水面に飛び出ている石の上を曲芸師の様に、またいで渡る所もあった。安心できずほとんど下を向きながら歩いた。夕方に着いた目的地(ボジバサ)は時間とともに寒さが増してきた。ここまで来ると白樺の木が増えてき、太い物で直径50センチほどあり、唯一この樹だけが落葉高木樹で今は半分ほど葉を落とし冬支度をしていた。

ここはロッジやテントも多く、比較的大きなキャンプ地で、100人くらいの収容能力がありそうだった。8名皆元気に一日目のトレッキングを消化した。昼間は歩いているのでとっても暖かで快晴の一日であった。しかし夕方から冷えて暖かなチャイやコーヒや夜食がありがたく五臓六腑温まった。周りの山肌にはもう暖色系の色合いが少なく、石山で覆われた山並みであった。



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