川崎廣進・工房カワサキの世界

〜The World Of Koushin Kawasaki & Koubou Kawasaki〜

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ハイデラバードは雨続き    2008年08月18日

このところほぼ毎日の様に夜になったら強い雨が降る。道の路肩はまるで幅1メートルほどが川のようになり歩く姿も男はズボンの裾をたくし上げて川を渡るような格好で、女性は裾を水に浸かったままスリッパで平然と渡っている。坂の多い街での川渡りである。

今私は庭園の工事とその中に僅かばかりの壁画を描いている。後2日で終わるというのに雨で工事が出来ず延び延びになり困っている。私にとってはインドで初めての工事でもあり、インド人ワーカーを使っての仕事で考えさせられた事が多く大いに勉強になった。

ただ雨の日はこうして仕事をしていると半袖では肌寒く感じる。寝るときも朝方は長袖を着て寝ないと寒く感じる。まして水シャワーは息をこらえてかぶるのである。一昨年居た時はそんなに感じ無かった事が不思議に思えてならない。人知の及ばぬ底深いところで大きな力が人間に警告を与えている様に思えてならない。私の考えている地球存亡50年説が幻覚夢想ではない様に思う。こんなことを言うと騒乱罪にでもなって、ただごとでは済まされないかもしれないが、ここ近年の地球上で起こっている天変地異はその規模や犠牲者は常識を逸脱している。

生物が生存するのに最低限必要な空気と水が今先進国の更なる発展と、途上国と言われる世界人口の大半を抱える国々が本当に生活習慣が一変し、一日に摂取すべきカロリーを地球上の耕地面積から生産、栽培できるんだろうか?  加えてインドのハイソサイテイのレベルに世界中の人々が求める物質が満たされるんだろうか。この地球を立体的利用をしない限りバランスが取れなくなる様だ。何時も馬鹿なことを考えあぐねているうちに私も年を取るばかりだが、空からバケツで水をひっくり返した様な降り方を見ると天が怒っている様にも思えてならない。

慣れない土地で慣れない人を使って仕事をすることはどんなに難しいことかつくづく体験した。ここは工期を守る習慣はいたって希薄の上、約束は守ってもらえないし、何か叱るとすぐ「明日があるので心配要らない」という。私はクライアントとの約束で工程表まで作っても見もしてくれない。まして工期を守る習慣も無いのである。それでも何とか最後までこぎつけたが、現場のワーカ達は私の気短をあざ笑う様に笑いながら私を指差して「何でもno noと言う」と言ってふざける。10歳位の子供も含めて皆若い人達ばかりでテルグ語が出来ない私は一人イラついているだけでもあった。こんな所で日本の管理をしようと思う事が間違いなんだ。仕事をしていて一面恥ずかしくも思った。

仕事をしていると通りがかりに40代女性が「この絵は誰が描いたのですか?」と尋ねられ「私の家もお願いしたい」と言われた時はいささか嬉しかった。今まで2週間の苦労も吹き飛んで最後まで日本流でやろうと確信を持った。私は誇り高き日本人なんだ。言葉の通じないのを笑われ様が仕事だけはきちんと残しておこう。「いずれ自分に帰ってくるだろう」と思ったとたん気が楽になった。



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